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カレー

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カレーというと、これはもう日本人にとって、蕎麦・うどん、ラーメンと並んでもはや完全な国民食といえるだろう。カレーがどこから来た云々という話は、「カレーライスと日本人」〔森枝卓士著・講談社現代新書刊〕という本にお任せするとして、今回はタイトル通り、タイ風カレーのお話。

日本でのカレーの王者といえば、「カツカレー大盛り」となるだろうが(かなり個人的な意見だが)タイにはこれぞ王者と呼べそうなものは見当たらない。
その代わり、かなりの数の伏兵がいる。鶏だったり、豚だったり、筍だったり…。 
そもそもタイ語でカレーに相当する言葉は〝ゲーン〟といい、この種類がざっと見積もって三十種類ぐらい。
更に、日本でいう澄まし汁に近いものまでゲーンと呼ぶ。こうなると、タイではある程度汁気のあるものは、ご飯にかけて食べようがいまいが、〝ゲーン〟、つまりカレーになってしまうのだ。

さて、インド風カレーが味の決め手にヨーグルトを使うのに対して、このタイ風カレーは、国内で大量に採れる安いココナッツミルクを使うのが特徴だ(単に乳製品を食べる習慣がないだけなのかも)。
日本のカレーのようにルーを作ることに固執せずに、石臼で突き上げた各種スパイス(主に生唐辛子、ニンニク、たまねぎ、生姜、コリアンダー、レモングラス、胡椒等、日本やインドのカレーと比べるとスパイス配合はそんなに多くない)にエビ味噌を混ぜて、スープで溶いてココナッツミルクを加えるというのが基本で、これにどんな具を合わせるかによって、幾種類もの〝ゲーン〟ができ上がる。

このゲーン、正真正銘庶民の味。単に辛いものから、一口めは甘いけど二秒後にのた打ち回る辛さのものなど、店頭のタッパーに山盛りに盛られたゲーンの中から、自分の好みのゲーンを選んでご飯にかけてもらう。そして、スプーンの上に海辺で作る砂のお城のようにきれいに盛ってゆっくりと口に運ぶ。
朝からよくこんな辛いもん食べられるなあ?とつい思ってしまうけど、最近のバンコクっ子は辛いものをあまり好まないようで、それでも昔と比べるとかなり辛さがマイルドになってきたようだ。

数あるゲーンの中で、筆者の個人的なお勧めは、
①グリーンチキンカレー、②レッドダックカレー、そして③グリーンフィッシュボールカレー。
ちなみに色は唐辛子の色で決まってきて、黄色いカレーはやはり黄色の唐辛子をベースにターメリック(ウコン)で作るそうだ。
①②は、レトルト製品が日本にも輸出されてるようなので、わざわざタイ料理店に出向かないでも味わえる機会があるだろう。

写真・文:おもだか まさし

アジア旨いもの紀行


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